新しい動的記録法Flexがデータ・センターのハードディスク・ドライブを再定義

変わり続けるハイパースケール・データ・センターのニーズに応える新しい動的記録法Flexの開発をSeagateは主導しています。Flexはデータ・センター・ハードディスク・ドライブの未来を一変させます。核心となるのは、Flexがストレージの導入とストレージ・サプライ・チェーンを大幅に簡素化し、データ・センターがより効率的に導入を進めながら、すでにインストールされているストレージをダイナミックに最適化して、変化し続けるアプリケーション要件に対応できるという点です。

Flexなら、1台のハードディスク・ドライブで同じドライブ・メディアを使って複数の記録法を使用できるようになります。例えば、容量が大きいSMRとパフォーマンスに優れるCMRを組み合わせ、最適なデータ局所性を持つ動的ハイブリッドSMRを1台のドライブで実現します。Flexならデータ・センターのホストでドライブのメディアにデータを保存する方法を設定し、ドライブのデータ密度を動的に調整してデータ・センターのシステム全体のニーズにすぐに対応できるようになります。

関連開発において、Googleは、動的ハイブリッド・シングル磁気記録 (HSMR) HDD製品要件に対する提案をOpen Compute Project (OCP) と共有することを今週発表しました。データ・センターで飛躍的に高まっているストレージのニーズに対応する一連のクラウド・ハードディスク・ドライブ機能、動作およびインターフェイスを定義するためにハードウェア・パートナーおよび顧客と協力することが狙いです。

Googleのインフラストラクチャ担当副社長にして昨年のデータ・センター用ディスクに関するホワイト・ペーパーの作成を担当したEric Brewer氏は、「Seagateの2019年のロードマップに動的ハイブリッドSMRのための技術ソリューションが入っていると知って喜んでいます」と述べました。

Flexの開発は、将来的にはすべてのメディア記録技術で調整・最適化が可能になり、顧客がパフォーマンス、容量、コストのニーズに合わせてストレージの使い方をきめ細かく決められるようになることを意味しています。

Flex対応ドライブへの移行により、Seagateやパートナー各社のサプライ・チェーンも大幅に簡素化されることになるでしょう。顧客は予測される総容量に基づいて必要なドライブを購入し、ウォーム・ストレージにもコールド・ストレージにも同じドライブを使用します。また、同じドライブをFlexを使用しないストレージニーズに使用することもできます。

時代とともに変化するハイパースケール・データ・センターのニーズ

Flex対応ドライブはユーザの用途ニーズに合わせてデータ・センターでいくつもの役割を果たします。データ・センターは、容量やパフォーマンスなど、1つのハードディスク・ドライブ・モデルで多様なニーズに応えることができます。ドライブのメディアに設定するパフォーマンスや容量の割合は、現場での展開後であっても、いつでも変更できます。さらに、Flexを認識しないホスト・システムでのドライブの動作は、従来のドライブとまったく変わりません。

当社のデータ・センター・パートナーにとって、Flexは大きなメリットがあります。各データ・センターには作業負荷、アプリケーション設定および既存の構造に基づく独自のニーズがありますが、時間とともにニーズは変化します。Flexフレームワークは、ハイパースケール・アーキテクチャ・ハードディスク・ドライブが現場でどのように調整を繰り返して異なるニーズに対応するかという新しいビジョンを提供します。これにより、IT設計者はクラウド・データ・センターで求められる多種多様な役割を果たすことができる柔軟性のあるシングル・ハードディスク・ドライブ設計を展開できます。ITマネージャーはハードディスク・ドライブ全体をニーズに合わせて最適化し、ウォーム・データ(頻繁に読取りや変更が行われるデータ)とコールド・データ(アクセスの頻度が低く、長期間保存されるデータ)の非常に効率的な保存とアクセスを可能にします。

Flexがあれば、IT設計者はハードディスク・ドライブ・ストレージ全体の総所有コストを最適化できるようになります。データ・センターでは、必要とされるところでウォーム・データのパフォーマンスを最大化できるようになります。そのため、使用されていないメディアでリソースを消費して効率を落とすことなく、ウォーム・データのパフォーマンスを最も効率のよいバランスで実現することができるのです。同時に、データ・センターはコールド・ストレージにかかるコストを最小限に抑え、必要に応じてメディアの容量を増やすような調整も可能になります。

これまではパフォーマンスや容量は調整がきかず、変更できませんでした。ウォーム・データとコールド・データのストレージは、1台のハードディスク・ドライブ内でのデータの局所性と配置によって決定されるのではなく、デバイス単位でセグメント化されていました。

効率的な記録のためのもう一つの重要な進化

Flexはメディア記録の進歩における次のステップを提供し、現在のCMR、SMRメディアからHAMR、HIMR、HDMR、さらにその先のメディア技術までを顧客が最も効率的だと考える方法で導入できるようになります。また、そのフレームワークはSSD記録技術にも同じように応用できます。

Open Compute Project (OCP) の一環として、SeagateはホストがFlexの力を生かす方法を定義する新たなAPIの開発を支援します。Seagateはすでにドライブのトラック密度を現場で変更できるような新しいサーボ技術とテスト技術を開発しました。標準化プロセスを経由して最終的にパブリック・ドメインになるATAおよびSCSIゾーンド・ブロック・デバイス・プロトコルに対する拡張が提案されました。これにより、プラグイン互換性を持って幅広い市場で採用されるようになります。

Flexについて詳しく知るには、OCP Storage Working Groupのフォーラム・ミーティングに参加することをおすすめします。スケジュールはOCP Wikiページをご覧ください。Seagateからは、OCPストレージ・リードのJun LiuとMary Dunnがこれらのミーティングに参加しています。パートナーの皆様とお話しできることを楽しみにしています。Seagateからの追加情報は、追ってOCPストレージWikiに掲載されます。

2018-08-20T01:07:24+00:00

About the Author:

Jason Feist is Seagate’s Managing Technologist for the Office of the CTO and has directed the company's technology strategy and product planning for the enterprise segment. With 17 years of experience in hard drive engineering R&D, operations, and product line management, he’s worked in Head/Media Engineering management, as a product design lead, and as Asia regional product launch lead. Jason is an Open Compute Project (OCP) gold member.

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