カリフォルニア大学の研究者らが機械学習で聴覚障害の診断と治療を支援

UC Davis researchers record a young child’s brain activity using high-frequency EEG.

カリフォルニア大学デービス校の研究者らは、高周波脳電図を利用して幼児の脳の活動を記録しています。

北カリフォルニアの研究者チームが機械学習をはじめとする最先端技術で聴覚障害の診断と治療を支援しています。彼らの研究では1日あたり50GBから100GBの大量のデータが生成されており、ストレージ・リソースにかかる負担は相当なものになっていました。

「ストレージの状況は理想とはほど遠い状態でした」と話すのは、カリフォルニア大学デービス校のCenter for Mind and Brainの研究者で博士課程論文を執筆中のBritt Yazel氏です。「デスクトップ・コンピュータには1TBの内蔵ストレージがありましたが、一日中データの出し入れしていました。すべてのデータを整理してアクセスできるように維持するだけでもやっとという状態になりつつあったのです」

研究室には別の学部から譲り受けたサーバがありました。そのサーバにはSeagateのハードディスク・ドライブが搭載されており、もっと効率のよいデータ・ストレージ・ソリューションを提供してくれるのではないかと研究者たちは期待を寄せました。

重要な第一のステップ:PCからサーバにデータを移行してパフォーマンスを向上させる

uc-davis_help-researchers-treat-hearing-loss「現在、サーバには20TBのストレージがあります。信じられないことです」とYazel氏は話します。「すべてのデータをPCからサーバに移行し、素晴らしいパフォーマンスを手にすることができました。書込み速度は以前の3倍にあたる140MB/秒になりました」

高速のシステム・パフォーマンスと十分なストレージ容量は、Center for Mind and Brainの研究者たちがデータを効率的に管理し、ワークフローを合理化する上で非常に重要な意味があります。

「私たちの研究では山のようにデータが生成されます。機械学習アルゴリズムを使用することにより、私たちは聴力低下についてより深く理解できるようになり、聴覚障害を治療する既存の技術を改善することができました」とYazel氏は話します。「私たちの研究にとってはすべてのデータが非常に大きな意味を持っていますが、それもデータへの迅速なアクセスと分析、チーム全体での共有が可能であってこそです」

脳の活動データを分析して聴覚低下を突き止めるには

カリフォルニア大学デービス校のチームは、聴覚障害を最も効率よく治療するために聴力の低下に関与する脳の領域を特定する研究を進めています。そのために、研究者たちは高周波/高密度EEG(脳波)測定器を使用して脳の活動を記録しています。脳波の記録には1回のセッションで2~3時間かかります。研究者たちは16,000Hzの周波数で最大128チャネルを記録します。これは従来の技術を使用した場合に比べてはるかに大きい数字です。1時間の測定で生成されるデータ量は10GBです。

研究所のコンピュータは独立成分分析を行っており、研究者たちは「絡み合うスパゲッティ」のようになった信号を多数の成分に分解します。この各成分がそれぞれの電子信号の発生源です。「信号を分解すると、聴力低下がどこで起きているかを調べられるようになります」とYazel氏は言います。

聴力低下の診断以外にも、この研究室では聴覚障害を克服する新たな方法も模索されています。

補聴技術を改善する新たな可能性

「補聴器を使っている人の多くは、意識的に雑音を遮断して特定の声に集中することに困難を感じています」とYazel氏は言います。「私たちはこれを「カクテルパーティ」問題と呼んでいます。補聴器にはまだまだ改善の余地があると私たちは思っています」

これらの問題に対応するため、研究室ではIntelとNvidia、それにSeagateの機械学習と専用ソフトウェアとハードウェアを使用して、従来の補聴器の改良に力を入れています。機械学習の力を借りれば、「雑音からインテリジェントに信号だけを取り出せる」まったく新しい聴覚支援機器を作り出せるのではないかと研究チームは期待を寄せているとYazel氏は説明します。

データ管理は、カリフォルニア大学デービス校のチームの研究において今後も重要な役割を果たしていくことでしょう。

「私たちの研究にとってデータの重要性はますます高まっています」と話すのは、Center for Mind and Brainの准教授Dr. Lee Miller博士です。「データは聴力障害の診断と治療の新しい方法を探す手助けをしてくれます。データはあらゆるイノベーションの基盤です。だからこそ高速で信頼できる大容量のストレージ・ソリューションが私たちにとって重要なのです」

2018-08-25T00:56:57+00:00

About the Author:

Leave A Comment