Dropboxがゼタバイト時代に対応したSeagateの画期的な面密度テクノロジーを採用
Dropboxでは次世代ハードディスク・ドライブExosの導入準備を進めています。このドライブにはSeagateのHAMRという画期的なテクノロジーが使われ、ディスク1台あたり3TBという類を見ない面密度を実現しています。
クラウド・ストレージ・プロバイダとして知られるDropboxは、長年のパートナーであるSeagateが誇る、高度な面密度テクノロジーを基盤とするニアラインのハードディスク・ドライブ・プラットフォームを多様なプログラムに活用し、自社のデータ・センターを拡張、最適化しています。データ量の増大が続くという予測のもと、Dropboxでは対策としてSeagateの次世代ハードディスク・ドライブ・プラットフォームExosの導入準備を進めています。このドライブには熱補助型磁気記録 (HAMR) という画期的なテクノロジーが使われ、ディスク1台あたり3TBという類を見ない面密度を実現しています。
Dropboxハイブリッド・インフラストラクチャ部門の副社長アリ・ザファル (Ali Zafar) 氏は、Seagateとの実りある関係とその最新テクノロジーのメリットを強調しつつ、次のように話します。「Seagateと協業して何年にもなりますが、同社の画期的なHAMRテクノロジーを搭載した業界最高峰の面密度テクノロジーと、Dropboxのストレージ・インフラストラクチャとの来るべき統合は、両社がデータ・ストレージが持つ可能性を広げることに心血を注いできた成果が結実したものと言えます」
目標:優れたデータ密度とデータ・センターの効率的なコスト構造
Dropboxはこの数年間で成長する顧客ベースに合わせてサービスを拡大してきましたが、その中で業界有数の性能と信頼性、セキュリティ、そして入手しうる中で最高水準のストレージ密度を誇る、Seagateの包括的なニアライン・ハードディスク・ドライブであるExosを活用してきました。最近では、テストが完了し承認が下りた同社の25TBのハードディスク・ドライブを、Dropboxのシステム群に導入しました。
ディスク1台あたり3TBという画期的な面密度により、わずか10台のディスクと20個のヘッドで30TBを越える容量のハードディスク・ドライブを初めてリリースしたSeagateは、業界でも唯一無二の存在です。この構成は、ドライブの取得コスト、消費電力、スペースの有効活用という点で、他社に先駆けて著しい効率改善を達成しています。
最高水準の面密度を持つハードディスク・ドライブを使用することで、Dropboxは数多くのメリットをデータ・センターの運用に活かしています。アリ・ザファル氏はデータ密度が増加したことで1台のサーバーに保存できるデータ量が増え、必要なラックの数とフロアのスペースが削減されたと説明しています。集約の効果は電力、空調、CPU、RAM、フロア・スペースなどの運用コストの大幅な節約となって表れています。
ザファル氏は次のように話します。「最終的に、Dropboxはコスト構造の改善と総所有コスト (TCO) 全体の削減を実現して、お客様のために効率的で費用対効果の高いサービスを提供することができるのです」
ザファル氏はまた次のように話します。「Dropboxのデータ・センターのアーキテクチャにおいてハードディスク・ドライブが担っている役割の重要性は、いくら強調してもしすぎるということはありません。ハードディスク・ドライブはDropboxのシステム群でもっとも広く採用されている物理ストレージ・メディアです」Dropboxでは対前年比でストレージ成長率が大きく拡大したように、クラウド・ストレージに対する需要が高まり続けていることを踏まえると、高い面密度とディスクあたりのTB量の引き上げを可能にしている先進的なテクノロジーの利点は、伸び続けるデータへのニーズに応える上でますます重要になってきています。
ソリッド・ステート・ドライブ (SSD) やテープ装置など他の重要なストレージ・テクノロジーにはそれぞれに利点がありますが、Dropboxのストレージ・インフラストラクチャやハイパースケール・アーキテクチャ、データ・センター・アーキテクチャにとってハードディスク・ドライブが総じてもっとも現実的なソリューションであることには変わりありません。こう話すのは、Dropboxのストレージ責任者でありMagic Pocketを統括するヘマン・タクレ (Hemant Thakre) 氏です。
Dropboxの顧客データはすべて、タクレ氏が「世界でも数少ないエクサバイト級のストレージ・ソリューション」と呼ぶ同社独自のMagic Pocketアーキテクチャのハードディスク・ドライブに保存されています。Magic Pocketはスケールアウトにより高可用性、耐久性、容量を強化し、サーバー1台で数ペタバイトのデータを保存できるストレージ・システムです。また日常的に、毎秒数百万件のクエリを効率的に処理し、ハードウェアのいくつもの不具合を自動で検出、修正することができます。
タクレ氏は次のように話します。「ハードディスク・ドライブはディスク1台あたりのストレージ密度やスロットあたりの容量、テラバイトあたりのコスト、耐久性、サービスレベル契約 (SLA) のバランスに優れています。Dropboxが効率的にお客様の期待に応えられるのは、そうしたメリットのおかげです。またハードディスク・ドライブは、Dropboxが保存している音楽、写真、動画、ドキュメントなどの多様なデータを保存する上での安定と信頼の基盤になっています」
Seagateの最新のHAMR対応ハードディスク・ドライブは、データ密度に関する画期的なテクノロジーであるとして、ザファル氏はその導入に期待を寄せています。今年、SeagateはHAMRテクノロジーによってディスク1台あたりの面密度の高密度化を実現しました。将来的にはディスク1台あたり5TB以上の面密度を達成し、50TBを超える容量(ディスク10台、ヘッド20個の同一アーキテクチャとそれに伴うBOMコスト)でストレージ密度の限界を引き上げ、データ・センターの運用効率をさらに最適化します。
「Dropboxは、HAMRを実装しプラッタあたり3TBの容量を持つSeagate Exosニアライン・ドライブの認証試験を行い正式に導入することで先進テクノロジーの最前線に立ち、拡大し続けるストレージ要件を効率的に満たすことを目指します」こう話すザファル氏は、次のように続けます。「計画では、できる限り速やかにHAMRドライブを定着させることを目標に、今年後半にHAMRドライブの試験と認証を開始することを考えています」
確固たる意志を持って先進テクノロジーに取り組んでいるSeagateとのパートナーシップは、Dropboxが高面密度ハードディスク・ドライブの導入を進める上での弾みになっています。Dropboxがストレージ性能を強化し、データに対する顧客のニーズに効果的に応えることができているのは、Seagateのそうした姿勢によるところが大きいとザファル氏は話します。
ストレージ・ハードウェア技術者のジャレド・メドニック (Jared Mednick) 氏は次のように言います。「Seagateの最先端テクノロジーを導入することに不安はありません。それは、当社が求めるものをいつでもより適した形で提示してくれるパートナーシップの効果を実感しているからです。当社のワークロードも徐々に変化しています。数年前まではファイル同期が顕著でしたが、昨今のお客様はよりリッチなメディアを使う傾向があるため、Seagateとの連携を通じて新しいストレージ・プラットフォームのファームウェアのチューニングやサーボ・プロセスを最適化することに取り組んでいます。アプリケーションは進化し続けているため、それに伴ってよりデータ密度の高いストレージに対するニーズは高まり続けています。そのため次のステップはHAMRを自社のアーキテクチャに組み込むことであり、Seagateの専門知識や技術は今後も不可欠でしょう」
DropboxとSeagateの共栄的なパートナーシップは、ハードディスク・ドライブの採用に留まらず、さらに広がりを見せています。Dropboxは積極的にSeagateとの共同販売に取り組み、設計に関するフィードバックでも協力しています。この協働が両社の総収益を押し上げた好例が、Seagateが一般ユーザー向けに販売しているUltra Touch外付けハードディスク・ドライブです。また、Dropbox DashやDropbox AIなどのAIを活用したツールに関するデモや議論にも密に協力し合い、画期的なテクノロジーや顧客中心のソリューションに共同で取り組んでいます。
Dropboxは自社データ・センターの運用を最適化することにかけては確固たる姿勢で臨んでいます。インフラストラクチャのアーキテクチャの指針となる重要な原理:ストレージ密度が最優先Dropboxは業界最高峰の面密度を誇るドライブの性能を引き出し、データ・センターのテクノロジーにおいて優位を保ち、最適なストレージ効率を確保することに力を入れています。Seagateが面密度テクノロジーやストレージ容量で一歩先を行く企業であるという認識のもと、DropboxではSeagateとの関係を深めることで、両社とそれぞれの顧客にさらなるメリットをもたらす方法を探ろうとしています。
技術の発展に共同で取り組むDropboxとSeagateは、Win-Winなパートナーシップの継続に向けて動き始めています。ディスク1台あたり3TBの次期型HAMRドライブの認証試験を行い正式に導入しようというDropboxの計画は、テクノロジーの最先端に立つための取り組みを示すものです。このゼタバイトの時代、DropboxとSeagateにはストレージの将来的なニーズに応える用意があります。
この記事は、Dropboxのリード・エンジニアであるJesse Leeと共同で作成されました。
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