S3ストレージ・クラスの仕組み
Amazon S3ストレージ・クラスには、7つのオプションがあります。さまざまなオプションを使用してビジネスやニーズに合わせてストレージを拡張可能で、支払うのは使用した容量の料金のみです。
S3ストレージ・クラスは、クラウド・ストレージに対する企業のアプローチをカスタマイズする手段を提供します。ストレージ・クラスの各階層には、達成を目標とする特定の役割があります。ストレージ・クラスは7つの階層で構成されており、ユーザーは必要とするストレージのみを使用できます。ここでは、次の内容について説明します。
一般にS3ストレージと呼ばれているSimple Storage Serviceは、大規模なデータ・ストレージ・サービスです。7つの階層で構成されるS3は、非常に拡張性に優れており、ユーザーに耐久性が高いすぐに利用可能なデータを提供します。S3は、Webベースのクラウド・ストレージ・サービスで、データのバックアップとアーカイブ向けに設計されています。
S3は、上記で説明したような非常に拡張性の高いストレージを提供するために、オブジェクトとしてデータを保管します。これらのオブジェクトを保管するために、ユーザーはいわゆるバケットを作成します。S3ユーザーは、無制限の数のオブジェクトを保管できるバケットに加え、次の機能を利用できます。
バケットを作成する際、ユーザーにはバケットの展開先となるリージョンを指定する権限が与えられます。バケットが作成されると、S3オブジェクト(データ)はバケットにアップロードされ、バケットはデータを保管するコンテナとして機能します。バケットとオブジェクトには一意の識別子が付与されます。バケットに保管できるオブジェクト数に制限はありません。
ユーザーは、どのようなデータを使用するかに応じて、使用するS3ストレージ・クラスのタイプを決定します。このプロセスでは、アクションに応じてストレージが自動的にスケーリングされます。請求されるのは、実際に使用した容量の料金のみです。
データ・ストレージのニーズや、アクセス、保護、コストの要件に容易に対応できるように、7つの異なる階層のS3ストレージ・クラスが提供されています。これらのストレージは、大企業と小企業の環境、および個人にも使用されています。これらのストレージ・クラスは、データ・アクセス、データ保護、コスト要件、レジリエンスなどの特別なニーズを持つ、個々のワークロードに応じて選択できます。ストレージ・クラスには次のタイプがあります。
S/N | ストレージ・クラス | 達成目標 | 最適な使用例 |
1 | S3 Standard | 頻繁にアクセスされるデータに最適なストレージ | クラウド・アプリケーション、動的なWebサイト、コンテンツ配布、モバイルおよびゲーミング・アプリケーション、ビッグ・データ分析 |
2 | S3 Intelligent-Tiering | ユーザーに代わってデータを最も費用効果の高い階層にデータを自動的に移動することで、ストレージ・コストを最適化する | データ・レイク、データ分析、ユーザー作成のコンテンツ |
3 | S3 Standard-IA | アクセス頻度は低いが、必要なときに即座にアクセスする必要があるデータ向け | 長期的なデータ・ストレージ、バックアップ、データ・リカバリ・ファイル用のデータ・ストレージ |
4 | S3 One Zone-IA | S3 Standard-IAよりも20%安いコストで、アクセス頻度が低いデータを保管 | オンプレミス・データのセカンダリ・バックアップ・コピー、または容易に再作成可能なデータの保管 |
5 | S3 Outposts | Outpost環境にオブジェクト・ストレージを提供 | ローカル・データ・レジデンシーを必要とするワークロード |
6 | Glacier | 年に1~2回アクセスされるアーカイブ向けの低コスト・ストレージの提供 | 医療画像、ニュース・メディアの資産、ユーザー作成コンテンツなど、即座のアクセスが要求されるアーカイブ・データ |
7 | Glacier Deep Archive | データの長期的な保持および保存 | 医療、公共セクター、金融サービスの顧客、ディザスタ・リカバリとバックアップ |
S3 Standardストレージ・クラスは、さまざまな目的に使用できる、頻繁にアクセスされるデータに最適なストレージです。S3 Standardでは、データを複数の場所に保管できます。S3 Standardは、幅広いユース・ケースに対応できる耐久性、可用性、パフォーマンスを提供します。汎用機能を備えているため、ストレージ・クラスの中で最も料金が高額です。
アカウントの作成時にユーザーが使用するストレージのタイプを指定しない場合、デフォルトのストレージとしてS3 Standardが選択されます。S3 Standardライフサイクル・ポリシーを使用すると、アプリケーションの変更を必要とせずに、他のストレージ・クラスにオブジェクトを移動できます。
S3 Intelligent-Tieringは、ユーザーに代わってデータを最も費用効果の高い階層にデータを自動的に移動することで、ストレージ・コストを最適します。そのために、ユーザーのアクセス・パターンの分析が行われます。ただし、パフォーマンスや取り出し料金の請求に影響はありません。このストレージ・タイプは、アクセス・パターンが予測できないデータをサポートします。このタイプのデータは、長期にわたって保存され、企業システムから削除されません。
S3 Intelligent-Tieringは2つの階層を使用します。1つは頻繁にアクセスされるデータ用、もう一方は頻繁にアクセスされないデータ用の低コストの階層です。ユーザーのアクティビティに応じて、データは30日間、2つの階層間で自動的に移動されます。このタイプのストレージは、ユーザー作成コンテンツ、データ分析、データ・レイクをはじめとする多くのワークロード向けに使用できます。
このストレージ・タイプは、アクセス頻度は低いものの、必要時にすばやくアクセスできなければならないデータ向けです。S3 Standardと同様に、2つの施設におけるデータ損失に持ちこたえることができます。データは、地理的に分散されている複数のアベイラビリティ・ゾーンに保管されます。低いレイテンシー、高い耐久性とパフォーマンスはS3 Standardと同等ですが、ストレージのギガバイトあたりのコストおよび取り出しコストはS3 Standardよりも低額です。S3 Standardと同様に、S3 Standard-IAのライフサイクル・ポリシーを使用して、アプリケーションの変更を必要とせずに、他のストレージ・クラスにオブジェクトを移動することもできます。
データを最大3つのアベイラビリティ・ゾーンに保管する他のS3ストレージ・クラスとは対照的に、S3 One Zone-IAは1つのアベイラビリティ・ゾーンにデータを保管します。アクセス頻度が低いデータ向けに作成されたS3 One Zone-IAは、S3 Standard-IAよりも20%安い料金に設定されています。データ・アクセス頻度は低いものの、S3 StandardまたはS3 Standard-IAのレジリエンスまたは可用性機能を必要としない低コスト・オプションを探しているお客様に最適です。
S3 One Zone-IAは、再作成が容易なデータのセカンダリ・バックアップ・コピーの保管に使用できます。データは1つのアベイラビリティ・ゾーンに保管されているため、アベイラビリティ・ゾーンが損失した場合、S3 One Zone-IAはデータを失います。
このストレージは、OutpostsにS3オブジェクト・ストレージ機能を追加します。S3 Outpostsは、リカバリ用にデバイスとサーバー間でデータを冗長的に保存します。S3 Outpostsは、保管されているすべてのデータに耐久性を提供します。S3 Outpostsは暗号化機能を備えており、IAMポリシーとS3アクセス・ポイントを使用した認証に対応します。
Seagate Lyve Cloudは、既存のS3ストレージを補完するパートナーとして機能する、クラウドベースのオブジェクト・ストレージ・ソリューションです。
基本的に、従来のS3 APIはクラウドベースのデータ・ストレージの言語です。Lyve Cloudが提供する使いやすいインターフェイスにより、S3言語を使用することなく、以下を簡単に行うことができるスケーラブルなオブジェクト・ストレージを実現することができます。
Seagate Lyve Cloudにより、インターネットベース・アプリケーションへの容易なアクセスや、プライベート/ハイブリッド/マルチクラウドのデータ・センターの構築を必要としている企業はアプリケーションから、大規模なデータ・ストレージにアクセスすることができます。
お客様のストレージのニーズに対応するLyve Cloudの機能の詳細をご確認ください。