ソリューション

IronWolf SSDで停電時のデータ損失からデータを守る方法

御社に適したSSDを選ぶときに考慮すべきことはたくさんあります。予期せぬ停電からデータを守ることもそのひとつです。

目次

中小企業の経営者が自社の仕事量に適したSSDを選ぶときに重視する条件は2つあります。それは、価格と性能です。「信頼できるドライブを手ごろな価格で手に入れたい」と考えるのは理にかなっていると言えるでしょう。その一方で、この2つの条件だけにとらわれていると、不満を感じたり、成果が伴わなかったり、予定外の出費がかさんだりすることもよくあります。予期せぬ停電によるデータ損失もそのひとつ。定期的にバックアップをとっていても、停電によるデータ損失は避けられません。

NAS環境での停電時のデータ保護 (PLDP)

停電によるデータ損失は、特に複数のユーザーと大量のデータ通信を伴うNAS環境において壊滅的な被害をもたらす可能性があります。ここで提案する方法は、RAIDによってドライブにデータ冗長性を持たせる方法と似ています。Seagate IronWolf 110 SSDでは、次の3つの方法でデータの整合性を達成します。

  • 内蔵の高分子タンタル・コンデンサを使って補助電源を提供し、移動中のデータをNANDフラッシュにすべて保存する。
  • たとえシステムへの電力供給が中断されても、回路がNANDへの電力供給を維持し、その間にNANDがプログラムされる。
  • データの整合性を保ち、データ損失を防いで、結果としてエラーが生じた場合はホストに報告する。

上記の方法をすべて実行することで、停電によるデータ損失を防ぎ、データの整合性を守っています。PLDPは、現行の消費者向けSSDには搭載されていない機能です。

PLDPにより、IronWolf 110 SSDは予期せぬシステム停電に備えることができます。一時的なホスト・バッファで、移動中のデータを最小限に抑えます。そのうえで、停電時に備えて設計された内蔵コンデンサを使用し、SSDに十分な量の電力を供給して、デバイスのバッファからNANDにデータを移動させます。たとえシステムへの電力供給が中断されても、電力の供給は維持されるため、NANDをプログラムすることができます。データの整合性を守り、データ損失を防ぐ一方で、結果としてエラーが生じた場合はホストに報告されます。

PLDPへの連続電力供給

PLDPを実現するための方法として連続電力供給 (UPS) か、別の形での非常用電源が考えられますが、いずれも絶対的に確実な方法ではありません。予期せぬ停電の原因としては、ありとあらゆる外的または内的要因が考えられ、それが御社のシステム全体に影響を及ぼすことも、そうでないこともあります。その一例が電圧の急激な上昇です。そのため、予期せぬ停電によるデータ損失からデータを守るためには、UPSだけでは不十分なのです。SSDには、データの整合性を保証するための内部構造が必要です。

予期せぬ停電によってデータ損失が起こる理由は、システムのシャットダウン・プロセスを思い出せば分かります。正常なシャットダウンでは、ホストがSSDにコマンドを出し、移動中のデータやバッファに残っているデータを非揮発性NANDに保存するよう指示します。一方で、予期せぬ停電が起こるとそのプロセスは開始されないため、保存されていないデータは失われる可能性が高くなります。

IronWolf 110 SSDのPLDP回路

PLDPプロセスの一環として、Seagate IronWolf 110 SSDは電圧レベルを継続的に監視する特殊な回路を備えています。内蔵のコンデンサに電力を蓄えておき、電力が一定のレベルを下回ると、直ちに電力が供給されます。こうした緊急時の電力供給により、処理中の書き込みを完了し、バッファ内のデータをNANDにコピーすることができます。

IronWolf 110 SSDに搭載されているコンデンサは、通常であればエンタープライズグレードのSSDにしか搭載されていない特別な機能であり、内蔵のUPSとして機能する一方で、十分な電力を蓄えておくことができるため、ドライブ内のバッファ・スペース全体をコピーし、すべてのNAND書き込み作業を完了することができるのです。電力供給が再開すると、SSDは通常の動作に戻ります。その際、コンデンサは次の予期せぬ停電に備えて再充電を行います。

停電時のシナリオ

停電が起こる数限りない場面を想像してみると、PLDPの重要性はより鮮明になります。小規模な停電(システム内での電源故障、建物内や近隣での停電など)でさえ影響が及ぶことを考えると、大規模な停電はますます無視できません。ひどい吹雪や雷雨、台風など、自然がもたらす悪天候は、電力供給を中断させることがあります。近年では、そうした状況に遭遇する場面が増えてきました。お住まいの地域によっては、送電網の問題(節電や計画停電など)によって、電力供給が中断されることもあります。

PLDPとITサポート

中小企業の経営者が予算面と運用面でも懸念しているのが、ITサポートの不足です。IT担当者を雇用すると人件費がかかるため、経営上あまり賢明な判断とは言えないかもしれません。御社の事業内容や必要とされるサービスによっては、ITサービスに毎月数千万円単位の費用がかかることも考えられます。そんな場面でも大きなメリットを実感できるのが、IronWolf 110 SSDをNASとして活用することです。IronWolf 110 SSDは、高い性能とデータ保護機能を一貫して実現する、耐久性に優れたドライブです。PLDPは、いかなる状況下でもデータを確実に守ることができるという大きな安心感を与えてくれます。さらに、IronWolfドライブには、ユーザー自身がドライブの健全性を監視することができるIronWolf Health Management (IHM) という特典も付いています。2年間のデータ・リカバリ・サービスも付帯しています。IHMの詳細はこちらからご覧いただけます。

また、PLDPはJBOD、RAID 0、RAID Rebuildによるアーキテクチャ・システムの保護機能も備えており、データ冗長性を欠いたどんなアーキテクチャにも対応します。

PLDPは、不注意によるミスや自然災害、さらには電源オンのままSSDを取り外してしまうというミスによって電力の喪失が起こっても、必要に応じてデータの整合性を守ります。PLDP機能を搭載したIronWolf 110 SSDなら、予期せぬ事態や不可抗力による事態に備えることができます。