プライベート・クラウドとは?

プライベート・クラウド環境のメリットや特徴をご紹介します。

目次

パブリック・クラウドによって、さまざまな企業のクリエーション、革新、成長が可能になりました。しかし、企業が成長を続けると、パブリック・クラウドだけではニーズに柔軟に対応できなくなります。

企業がパブリック・クラウドだけに依存してしまうと、データへのアクセスに問題が発生することもよくあります。さらに、クラウドからデータを取り出しにくくなり、データ転送料金がかかるためコストも高くつきます。こうした問題は、エンタープライズ・データから価値を引き出すための取り組みを妨げる可能性があります。そこで企業は今、データの管理方法や管理場所を見直し始め、マルチクラウド・エコシステムへのシフトを進めています。

また、従来型のオンプレミスのエンタープライズ・データセンター・アーキテクチャでは、システムをすばやく簡単に拡張できず、社内の多数の組織で成長やスピードのニーズに対応することができません。

統一された方法を用いて複数のクラウド・アーキテクチャでデータを統合するマルチクラウド戦略には通常、プライベート・クラウドの要素が含まれます。つまり、企業はパブリック・クラウド・サービスと、オンプレミスあるいはプライベート・クラウドとを使い分けて、データを保存しています。一部のデータをプライベート・クラウドに保存することで、プライベート・クラウドとマルチクラウド・エコシステム両方のメリットを手に入れることができます。

プライベート・クラウド:定義

プライベート・クラウド – 企業クラウドまたは社内クラウドと呼ばれることも多く、ひとつの企業の中で複数の組織に対応するためのオンデマンドのクラウド展開を指します。一方、パブリック・クラウド・サービスは、データ・センター・インフラストラクチャを使って第三者が提供し、多数の企業が共有するサービスです。

プライベート・クラウドは、クラウド・ネイティブの原則に基づいて構築されています。つまり、幅広い仮想化データ・ストレージとコンピューティング機能を提供し、それを社内のさまざまな組織やユーザーが必要に応じて利用できるということです。また、マルチクラウド戦略では、プライベート・クラウドとパブリック・クラウドの間で作業負荷を簡単に移行させることができ、プライベート・クラウドとパブリック・クラウドにおいて同時にデータや作業負荷を解析して共有することができます。

IDCの調査によると、Seagateの最近の「Rethink Data」レポートで報告されている通り、51%の企業がITインフラストラクチャの一部としてオンプレミスのプライベート・クラウドを展開しており、パブリック・クラウドを利用していると答えた企業 (50%) を上回っていました。ホステッド・プライベート・クラウドもまた、36%の企業で利用されています。

プライベート・クラウドは、企業などの大規模な事業体が自社専用で使用するものです。しかし、その事業体の中には、部署、組織、あるいは個人消費者など、さまざまなユーザーが存在します。事業体はプライベート・クラウドの物理インフラストラクチャを所有して自社で管理したり、第三者を利用してプライベート・クラウド・インフラストラクチャをホストしてもらったり、あるいはこの2つを組み合わせたりすることができます。プライベート・クラウドは、オンプレミスにもオフサイトにも配置することができます。

プライベート・クラウドの利点

プライベート・クラウドを利用すると、クラウド・コンピューティングの利点を手に入れられるだけでなく、コンポーネント、システム、その他のアーキテクチャをより確実に管理してカスタマイズすることができます。また、データ・セキュリティをしっかりと管理できるため、知的財産、財務データ、機密書類、個人情報など、機密性の高いデータの処理を簡素化して安全性を高めることができます。

プライベート・クラウド環境を運用すれば、従来のエンタープライズ・データ・センターと比べて、コンピューティングやストレージのリソースを十分に活用できないという問題を解消することもできます。企業はプライベート・クラウド内でリソースをパーティションに分け、各部署固有のニーズに応じてリアルタイムで必要に応じてリソースの割り当てを変更することができます。他にも次のような利点があります。

  • プライベート・クラウドのアーキテクチャ、システム、コンポーネントに加えて、導入しているアプリケーション、データの保存方法や使用方法を管理することができます。これらすべてをニーズの変化に合わせてカスタイズすることができます。
  • 予測可能な経済を大規模に実現し、自社で管理することができます。
  • 大容量データ・セットへの容易かつ頻繁なアクセス。頻繁にデータを読み取って分析する必要がある場合、ストレージ・コストが非常に高くなるため、これは大きなメリットになります。
  • IP所有権、保護、データの物理的な保存場所の管理。これは例えば、監査の記録を明確に残す必要がある場合や、規制要件の遵守が求められる場合に有益です。
  • 独自のビジネス要件や技術要件を抱える各組織のニーズに対応できる柔軟性が手に入ります。プライベート・クラウドなら、クラウド環境をカスタマイズして、企業は各部署やエンド・ユーザーのニーズに対応することができます。
  • 展開のスピード。企業のIT管理者やデータ管理者は、新しいアプリケーションを展開したり、リアルタイムでニーズに応じてリソースを再割り当てしたり、特定のアプリケーション向けにリソースの処理を最適化したり、あるいはデータをより素早く簡単に転送できるようにストレージやメモリを展開して遅延を抑えたりすることで、社内の各チームのニーズに素早く対応することができます。
  • セキュリティの導入およびデータの権限やアクセスの可視性の向上。財務や医療などの重要データを管理したり、ハードウェア構成、セキュリティ・サービス、リモート・アクセスの権限、ストレージの冗長性、暗号化などに対する完全なコントロールの維持を行ったりする必要がある組織。
  • 機密データ・セットに関するコンプライアンスの徹底。例えば、特定の提供者と患者のローカリティ、HIPAAやGDPRなどの法律や規制の遵守が求められるライフクリティカルなデータ。

従来のデータセンターとは異なるプライベート・クラウド

従来のデータセンター・アーキテクチャの代わりにプライベート・クラウドを展開することで、企業は以下をはじめとした、クラウドのさまざまなメリットを手に入れることができます。

  1. コンピューティングとストレージのリソースが非常に柔軟になり、エンド・ユーザーは、現在や将来のニーズに応じて、データ・ワークフローを素早く拡大・縮小することができます。
  2. リソースをプールできるようになることで、コンピューティングとストレージのリソースをより効率的に活用できるようになります。リソースやデータが第三者の管理下に渡ったり、閲覧可能な状態になったりするリスクを避けて、社内のユーザー間でリソースを共有、優先、使用中止、使用再開することができます。
  3. 各サービスを個別に測定して、ストレージ、処理、ユーザー・アカウント、帯域幅など、使用されているリソースの種類を確認できます。これにより、企業はリソースを最も必要な場所に配置し直すことができます。
  4. エンドユーザーや社内組織は、オンデマンドのセルフサービスという特性を生かして、IT部門の助けを借りることなく、自分でコンピューティング・リソースに関する計画を立てることができます。
  5. ワークステーション、ノートPC、タブレット、スマートフォンなど、幅広いエンドユーザー・デバイスにアクセスできるようになります。

プライベート・クラウドが選ばれる理由

パブリック・クラウド・サービスだけに頼ることはできないけれど、オンデマンド・リソースなどのメリットを手に入れたい場合は、プライベート・クラウドが理想的なソリューションとなります。

柔軟性と経済面でのメリットに加え、プライベート・クラウドはデータ・アクセスと管理のためのプロトコルを提供するため、企業内での管理が強化されます。これにより、データ・プライバシーや保護に関する政府の規制を徹底的に遵守できるため、金融業界や医療業界の企業には特に魅力的であると言えます。

例えば頻繁にアクセスするアプリケーションや関連データをプライベート・クラウドに戻して管理を強化するなど、プライベート・クラウドとパブリック・クラウド両方のインフラストラクチャを利用して移動するデータを管理することで、現代のハイブリッド・クラウドの世界において、成長に合わせてコストを確実にコントロールすることができます。

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