MACH.2デュアル・アクチュエータ技術搭載のSeagate ExosによりMicrosoftがIOPSを約2倍に向上

画期的なMACH.2デュアル・アクチュエータ技術搭載のSeagate Exos 2X14エンタープライズ・ハードディスク・ドライブ

Seagateの新しいExos 2X14エンタープライズ・ハードディスク・ドライブは、Seagateの画期的なMACH.2™マルチアクチュエータ技術を初めて搭載した製品であり、現在、お客様のデータ・センターでテストされています。MACH.2は、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)、ビデオ・ストリーミング、メール・サーバー、バックアップ/シャトル・サービス、Hadoop、クラウド・アプリケーションなど、多くのアプリケーションでシングルアクチュエータのドライブよりメリットが多いことが実証されました。

Microsoftは、MACH.2技術を搭載したSeagateのExos 2X14エンタープライズ・ハードディスク・ドライブによる大きな成功を予想しています。目標は、データ・センターの各スロットのストレージ容量を増やすと同時に、AzureやMicrosoft Exchange Onlineメール・サービスなど、Microsoftのクラウド・サービスに必要なIOPSを維持することです。早期テストの結果、MACH.2は期待どおり、高IOPSのワークロードに対応することを実証しました。

MicrosoftがMACH.2搭載Seagate Exos 2X14をテスト

Microsoftは、データ・センター・インフラストラクチャとの相互運用性と互換性の総合インフラストラクチャ・テスト、製品の堅牢性、信頼性、Project Olympusシステム・アーキテクチャとの統合の容易性など、Exos 2X14の機能的導入テストの第1ラウンドを完了しました。ITアーキテクトにとって最も重要な利点、すなわちMACH.2によるパフォーマンスの向上もテストしました。

Microsoftのパートナー・アーキテクトであるアーロン・オーガス氏は、MACH.2技術が早期開発段階にあるときから、Microsoftのクラウド・サービスへの導入を念頭に置いてSeagateと直接協力しています。

「Microsoftは、Exos 2X14の工学開発ユニットに多くの早期テストを実施し、今回はSeagateのExos 2X14 CTU(早期生産顧客用テスト・ユニット)をテストしました。その分析によると、MACH.2技術で達成したいと考えていたとおり、スループットとIOPSは2倍近くに伸びています」とオーガス氏は述べています。

Microsoftは、実証されたツールを使用し、MACH.2ドライブの機能を評価しています。たとえばMicrosoft Exchange Server Jetstressツールは、サーバーにかかるExchange 2013とExchange 2016ディスクI/Oの負荷をシミュレートし、ディスク・サブシステムのパフォーマンスと安定性を検証します。特に、シーケンシャル・スループット(バックアップやストリーミングのシミュレート)やランダム読み取りIOPSテスト(ハイパースケールやCDNワークロードのシミュレート)をテストしました。

オーガス氏は次のように述べています。「Microsoftは、しばらく前からワークロードをシミュレートしてきました。また、Seagateと協力し、MACH.2の開発段階から、MACH.2のパフォーマンスが当社のビジネスのニーズを満たすことを確認しています。目標は、現在使用されているシングル・アクチュエータのドライブの2倍近いスループットを出すことです。そしてMACH.2はテストでその目標を達成しました。」

テラバイトあたりのIOPS、テラバイトあたりのコストなど、MACH.2がクラウド・データ・センターのニーズに対応

クラウドを利用する企業は、データ・センターに多数の3.5インチHDDを導入し、複数のラックと複数のデバイスにわたってアプリケーション・ストレージ・ノードを管理します。このような企業のサービス・レベル契約(SLA)を満たすには、一定のレベルのパフォーマンスを確保する必要があります。これは、導入されているHDDストレージ容量全体のIOPS(1秒あたりの入出力数)とコマンド・レイテンシーで測定されます。そして求められるパフォーマンスは、特定のレイテンシーでのテラバイトあたりのIOPS(IOPS/TB)で示されます。

データ・センターのアーキテクトは、高いIOPSを実現するためにはエンタープライズSSDも1つの方法であると考えています。その有効性は、必要な容量、IOPS、スループット、冷却などの環境コスト、各アプリケーションのさまざまなニーズなどのバランスによって決まります。しかし、テラバイトあたりのコストが低く、容量の大きいハードディスク・ドライブは、HDDのIOPSがニーズを満たしている限り、容量を生かした最も有効なストレージ階層となります。

Seagate MACH.2技術は、2個のアクチュエータを使ってIOPS/TBの課題に対応します。つまり、1つのHDD内で2つのデータ入出力を独立して実行し、1つのハードディスク・ドライブ内で並列処理を行うことにより、パフォーマンスを最大2倍に高めます。ドライブ内では、1つのアクチュエータが読み取り/書き込みヘッドの上半分、別のアクチュエータが下半分を動かします。各アクチュエータは、ドライブの総容量の半分に対応します。

MACH.2がMicrosoftのExchangeサーバー・アーキテクチャに有利な理由

どんなクラウド・データ・センターにとってもフロア・スペースは貴重であり、多くのアプリケーション・クラウド・プロバイダーが、同じスロットでできるだけIOPSを高めようとします。

MACH.2ドライブは、AzureやExchangeなど、MicrosoftのCSPサービスすべてに貢献し、多くのアプリケーションが共有するフロア・スペースの有効活用を助けます。Microsoftは、フロア・スペース、消費電力、冷却と相関するスロット・コストの最小化を目指しています。使用している種類のドライブでIOPSが低下するようなら、デュアルアクチュエータのハードディスク・ドライブを追加するなど、他の道を探さねばなりません。

MicrosoftのExchangeアーキテクチャは、常にサーバー・スループットを最大化するよう調整されます。SeagateのMACH.2技術を使えば、Exchangeは、SLAのレイテンシー条件を満たしつつ、次々に大きなHDDを導入できます。Seagateの新しいプラットフォームでは、14TBのSeagate 2X14など大容量ドライブの導入が可能になると期待されます。SeagateのMACH.2技術により、その容量でExchangeをサポートするスループットが得られるためです。

MACH.2が「取り残された容量」を防止

特定のHDDデバイスが、利用する企業のIOPS/TB条件を満たす、または上回っている限り、HDDの容量はすべて利用可能です。しかし、アプリケーション・ワークロードにおいてHDDのIOPS/TBが所定の閾値を下回った場合、ターゲットとするワークロードですべてのドライブ容量を利用することはできません。この問題は「取り残された容量(stranded capacity)」と呼ばれます。

Seagateのクラウド・プロダクト・マネージャーであるジェームズ・ボーデンは、「取り残された容量」のジレンマを次のように説明します。

「ハードディスク・ドライブの容量が増えても、これまでデータを転送する速度はそれほど上がっていませんでした。マルチアクチュエータ技術がなければ、一定の能力を超えてしまうと期待したクオリティ・オブ・サービスが得られなくなります。各ドライブにスループットの上限があるからです。」

「たとえば、期待されるクオリティ・オブ・サービスを維持するには、16TBのドライブは8TBのドライブの2倍の最大スループットを必要とします。アプリケーションがストレージ・デバイスの最大IOPSを超え始めた場合、唯一の解決策は、そのデバイスに入れるデータを減らすことです。このため『取り残された容量』が生じます。」

「完全ではありませんが、『ショート・ストローク』と呼ばれる方法を使えば無駄になる容量を活用できます。この場合、ドライブの外径にデータのサブセットを置き、内径には重要でない、つまりそれほどクオリティ・オブ・サービスにとって必要ではないデータを置きます。こうすれば、少なくともハードディスク・ドライブの3分の2しか使えないということはなくなります。しかし、データ管理が複雑になる上、手持ちの容量をすべて活用できるとは限りません。」

MACH.2を搭載したExos 2X14ドライブを導入すれば、「ショート・ストローク」は不要です。データ・センターでは、各スロットに14TBのデュアルアクチュエータ・ドライブを設置可能です。アプリケーションにとっては、2つの7TBドライブで高スループットを提供する状態に似ていますが、スロットは1つで済みます。

CSPの目標達成に向け、MicrosoftとともにSeagate MACH.2技術を開発

Seagate初のExos 2X14デュアルアクチュエータ・ハードディスク・ドライブの設計と機能は、お客様のニーズを直接反映しています。Microsoftは、MACH.2マルチアクチュエータ技術の開発サイクルの当初から発売に至るまで、Seagateと緊密に協力しています。

Seagateクラウド・アプリケーション担当グローバル・セールス・リードのクリス・ヘンズリーは、次のように述べています。「MACH.2の開発は、Microsoftのデータ・センターで同社と協力しながら進めてきました。Microsoftは当初から手厚くサポートしてくれています。MACH.2マルチアクチュエータ・アーキテクチャは、Microsoftの言う『テラバイトあたりのIOPS』の問題を解決するために、継続的な対話に沿って進化しています。」

ボーデンも同意しています。「Microsoftは、一貫して当社に協力し、プロセスの全段階に関与してくれました。非常に早期のサンプルの段階から同社の意見は有益でした。」

「Microsoftは、Seagateの思い描く製品が同社で実際に導入できるものになるよう、このデバイスの設計早期からSeagateに協力しています。それが、デュアルLUNとSASを使用したMACH.2の最初のイテレーションの開発に大きく貢献しました。これはMicrosoftのデータ・センター・アーキテクチャに適し、おそらくは他の大手CSPの意向も反映していました。」

今後、Exos 2X14デュアルアクチュエータ・ハードディスク・ドライブの取り組みが進むにつれ、Seagateはさまざまな特徴を持つモデルを提供し、企業における幅広い用途に対応する予定です。

2020-04-23T17:06:10+00:00

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